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おしらせ

ノーハウへの軌跡<3>

みなさんこんにちは

少し間があいてしまいましたが、引き続き「ノーハウへの軌跡<3>」をアップさせていただきます。

40年程度前の記事となりますが、当時よりキモノ振興策の提言がされています。

今 若者の「京都のイメージ」の中に「キモノ」はあるでしょうか?

それでははじまりはじまり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あるデパートで「篠田桃紅の書と墨像展」が開かれた。この作品にもパールトーン加工がされていた。キモノだけではない。パールトーン加工はさまざまな分野で利用されている。十年前に完成した皇居の新宮殿。その春秋の間の壁張り「松」「杉」などは龍村美術織物の製品だが、これにもパールトーン加工がされている。

 

 

甲冑、能衣装、古文書などの文化財。イス張りや壁張り、カーペットなどの実用品。三味線や太鼓の皮。意外なところでは桐のタンスにまで進出した。桐のタンスは陳列中に客の手が触れて汚れる。そのため何度も表面をけずったりした。ところが、この加工をしておけば、ふき取るだけで白い生地を保つことができる。

 

 

こうしてキモノ以外にもパールトーン加工の利用価値が認められたが、主力はやはり「キモノの強力な味方」であることに変わりはない。前回までに見てきたように、泥をはね上げても、しょう油がかかっても、水とタオルで簡単にふき取ることができる。あとには少しのシミも残らない。それだけではない。キモノの命である風あいや色つやを変えない。通気性もそこなわれない。パールトーン加工したキモノなら安心して着られる。和装メーカーにとっては販促効果も高い。

 

 

ただ、その業績をさらに高めるためには、キモノそのものの振興という大テーマが欠かせない。

 

 

今春、ある和装メーカーの入社試験でこんなテストがあった。地方からの受験生に「京都のイメージ」をいくつかあげさせてみた。寺、歴史、伝統、文化…。その中にもキモノはなかった。「パリのイメージ」では、「ファッションの都」の答えが返ってきたというのに。少なくとも若い受験生の間では“着倒れの京都”の地盤沈下は明らかだった。一方で、キモノの着付け教室は大繁盛である。

 

 

もちろん、業界ではこのことを認識している。キモノ振興策はくり返し提唱されてきた。礼装用にしぼったアピール。あるいはふだん着中心に日常化への浸透。つねに賛否両論がある。百家争明のごとく“キモノの復興”を叫んできた。ところがそのどれもが「これまでは消費者に着せようとばかりしてきたきらいがある。ここらでみずから着てみせるという運動を考えなくてはならない」と、國松照朗は指摘する。

 

 

月に一回でもいい。関係各社の全社員がキモノを着て通勤し、仕事をし、退社する。そんなデモンストレーションをしてもいいのではないか。「そうした行動がもたらす波及効果は大きい」と國松はみる。

 

 

まず“隗より始めよ”という戦法だ。いい手本がある。大島紬(つむぎ)の産地として知られる鹿児島県奄美大島の名瀬市。ここでは全市議が大島紬のキモノを着て市議会を開く。“韓国産大島紬”などの攻勢に、失地回復をはかってのPRである。

 

 

京都でも一部の問屋では、売り出しのときなど男性社員がキモノを着て販売するケースもある。しかし、キモノを買いに来た呉服屋相手に、社内でキモノを着てみてどれだけの意味があるだろうか。町へ出て人目につかなければならない。

 

 

キモノが日々“式服化”し、日常着からは“遺物化”する現実に焦燥感を抱かない業界人は少ないに違いない。それでもコップの中の争いが続く。そのコップも年々小さくなりつつある。“式服化”にさえ反対する向きがある。たとえば「成人式でのキモノ禁止」。世界の民族衣装にくわしい美容服飾研究家の市田ひろみは「こんなナンセンスなことはない」という。

 

 

「キモノは日本が誇る衣装です。世界中にいろんな民族衣装があるけれど、それが現代の日常生活の中では“埋没”してしまっていても、結婚式やお祭りなんかには着る。自分の国の民族衣装を着るなと禁止しているところはありません。謝恩会とか成人式とかにキモノを着るのは当たり前だと思います。無理して買わなければならない人もあるので強制するのは問題だけど、それよりも民族衣装を着るなという方がもっと問題だと思う」

 

 

“キモノを「着てみせよう」運動”を提唱する國松照朗は、これをさらに日常化にまで高め「実用呉服のつね着としてのよさをアピールするのを目的」とする。

 

 

一月一回のデモンストレーションの日、髪型も昨日洋服を着て出勤したのと同じでけっこう。ウールや手持ちの小紋など、あまり高価さを感じさせないものを着る方が、この運動はより効果的だ。見る人に“あんなんなら私も着られそう”と思わせるためには、これでなくてはいけない」

 

 

業界人がキモノ姿で町へ出て、気軽にキモノを着られるムードづくりを手がけようというわけである。

 

<4>へ続く

【サンケイ新聞掲載記事】

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