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おしらせ

雑誌掲載情報【そめとおり】

㈱染織新報社さまの「そめとおり」新春号に弊社社長 由本の年頭所感を掲載いただきました。

以下本文

創業90周年の節目に企業の周知強化と撥水加工の事業領域拡大へ

新市場へのチャレンジ

当社は現在、きもののパールトーン(撥水)加工を軸としながら、クリーニングや地直しなどのアフターケア、国内・海外による縫製など、市場のニーズを起点にした自社機能の多様化に力を入れています。

また、撥水加工の更なる可能性を追い求め、アパレル製品やカーペットといったインテリア分野への活用など新市場へのチャレンジも進めています。具体的には「人工スエード」「モケット生地」など、きもの以外の素材への撥水加工を展開することで新たな市場の開拓に取り組んでいます。

国内では、京都市内の本社工場と三条工場を統合して、きもの専用の工場として特化し、昨年10月からリ・スタートしています。パールトーン加工はもちろんのこと、きものの洗いや地直しといった、きもののメンテナンスに関わる幅広い加工業務を集約し、ワンストップで受けられるようにする稼働体制を整えています。

海外では、ベトナムにおけるきものの仕立て事業が苦戦しています。需要が減っているというよりは、産業のグローバル化とITを中心とした経済の発展が進み、若手の人材(ワーカー)確保や工賃の値上げで、各メーカーとも利益を上げにくい状況が続いています。人材・加工技術のレベルアップを図り、製品の付加価値を高めることで多少のコストアップを吸収するよう早めの対策を施していますが、ベトナム縫製はこれから一層の過度期に入っていくと思われます。当社としては品質と信頼、つまり、どこまで愚直に「お客様の利益」を貫けるかを第一に考えて、経営の安定化を目指していきたいと思っています。

きもの市場に目を転じれば、昨年は気象変化による災害も数多く、業界に対しても痛手の多い一年でした。一方で、京都をはじめとする観光地では、インバウンド効果によりきものの着用人口が大幅に増加しています。内容としてはレンタルきものが過半数以上を占め、新反物の動きが鈍く、「所有」から「シェア」へ時代が移り変わってきているようです。

しかし、どのような時代の変化があったとしても、やはりきものは安心してお召しいただかねばなりません。そのためにも、今後はより一層パールトーン加工を多くの皆様に広めていく努力が必要だと思います。

パールトーン加工はおかげさまで、業界やきものファンの皆様にはよくご存知いただいていますが、新卒で入ってくる学生や新世代のきものファン、世代交代で新しく就任された呉服店の経営者の皆様方の中には「パールトーン加工を知らない」という方が少なからず増えています。そうした現状からも、再度社員が一丸となってパールトーン加工の周知徹底を図り、魅力を再確認してもらえるよう企業のプロモーション活動を強化していかなければなりません。

今年はそういう意味で、新しい戦略を打ち出していくというよりも、自社の力を高めていくための「働き方改革」に取り組む年ではないかと考えています。従業員の意識改革や人材レベルの向上を促す研修制度の導入、そして自社の持つ強みや特徴などを明確にして、時代のニーズに柔軟に適応していく経営体制を構築していきたいと思います。

 

 

創業90周年の節目

異業種コラボで企業PR

知名度を上げる一環として異業種とのコラボにも取り組んでいます。昨年は平昌パラリンピックの金メダリストの成田緑夢様の屋外練習用トランポリンにパールトーン加工を施していただきました。

2018年 11月には、人気ゲームの「ファイナルファンタジーXIV ファンフェスティバル2018 in Las Vegas」 がラスベガスにて行われました。そしてこちらのイベントでは、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹様が着物を着て登場してくださいました。

私は吉田様より「日本が誇る本物の着物を作ってほしい」と依頼を受け、近江屋株式会社様にお願いをして作成頂いた作品です。吉田様は、ゲーム内に登場する独自の東方文化を、「着物を着て発信したい」との気持ちから依頼してくださいました。

異業種となるゲーム業界ですが、厳しい着物業界にも下記のように依頼してくださいました。

「僕は日本のゲーム開発者として、仲間たちと日々研鑽を重ねて開発を行い、それを世界のプレイヤーのみなさんへと発信しています。誇りをもってこのイベントのステージに立つため、正絹で手描きのもの、そして図案も着物業界の方で考えてくださるとうれしく思います。着物文化とゲーム文化、異業種であっても、世界に発信する文化として心意気は同じはず。ぜひ、お願いいたします」。

また吉田様はこのようにもおっしゃってくださいました。

「日本の文化を旗印に、”目で見て、肌で感じられる仕事”を世界に発信できる点は、着物業界ならではの特性ではないかと考えております」。

世界中で様々な仕事がありますが、日本文化は、漫画やゲーム、映画、観光など様々な分野で注目を集めています。こうした異業種の方との協業、協力できる部分を積極的に発見し提案していく必要があります。

私もゲーム業界という一見すると全くご縁がなさそうな所から、今回の話を頂き、アメリカのラスベガスでお着物を着て頂くイベントに関わる事が出来て、感慨深いものがございます。若い方もベテランの方も様々な形で、情報発信を行い、様々な所での協業・協力を進めていく事が、この業界の活性化にとって必要不可欠なものであると考えています。

「売れる」ための条件は「感動」です。感動を与えるための一手段として高い技術力があり、その高い技術力も人知れず、さりげなく使ってからこそ、さらなる感動につながると思います。

今年、当社はおかげさまで創業90周年を迎えます。周年事業の企画はこれからですが、これからもお客様に感謝の念を持ち、「はじく」「まもる」というキャッチフレーズものと、きものを着ることへのハードルを低くし、気軽に、より楽しんでいただけるよう「信頼に対し信頼に足る仕事」でまい進していきたいと思います。

 

 

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