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合成繊維の性質

皆様こんにちは
今回は合成繊維の性質についてアップします!

合成繊維

合成繊維及びこれに類似するものについては「半合成繊維」と「合成繊維」との2つがある。これらに含まれる繊維の数は非常に多く、15種類にも達する。これらの繊維が動物性繊維と異なる点は吸湿性が少ないこと(繊維によっては吸湿性ゼロのものもある)、熱によって軟化したり、溶けたりする性質をもっていることである。
「半合成繊維」は植物性の原料に酢酸が結合したもので、いわば分子が半分合成された形をしているところからこの名前があり、アセテート・トリアセテートの2つがこれに含まれる。
「合成繊維」は繊維を形作る分子そのものを科学的に合成しているのでこの名前があり、13種類の繊維がこれに含まれている。
動物性繊維に様々な加工が施されて欠点をカバーしているように、合成繊維も改良・改質が行われ、防融加工や吸汗加工など多くの加工が施されている。

(1) アセテート・トリアセテート

アセテートもトリアセテートも共に美しい繊維で、外国でもビューティフル・ファイバー(美の繊維)といわれている。絹のような美しい艶と、しなやかさを持つこの2つの繊維の違いは、植物性の原料に結合している酢酸の分量が多いか少ないかだけである。しかがって性能は良く似ていて、比重は絹とほとんど変わらず、熱セットもできるが、摩擦や引っ張りに対してはあまり強くはない。また、アセトンや氷酢酸で溶解することも同じである。しかし、アセテートとトリアセテートの性能的な差の大きい箇所は、吸湿性と耐熱性である。トリアセテートの吸湿性はアセテートの約1/2 耐熱性はトリアセテートの方が30度~40度優れている。
アセテート・トリアセテート共その美しさから使用される分野は婦人物が中心となっているが、紳士物・寝具類にも使用されている。
アセテート・トリアセテートには美しい艶があるが、熱や蒸気によってこの美しい艶を失わせないようにしなければならない。また、熱で部分的に光らせたり溶かしたりしないようにしなければいけない。
しみ抜き時の溶剤あるいは酸を含んだ防水剤を使用するときには、これらの薬剤によっては繊維を溶かすものもあることも注意する、アセトン・酢酸アミル・シンナー・氷酢酸(15%以上)・クレゾール・クロロホルム等は使用してはいけない。また、アルコール・メタノール・アミルアルコール・酢酸プチルも安全であるとは言い切れない。
アセテートのベルベットは特に毛倒れを起こさないように注意して取り扱う必要がある。加熱された状態で毛倒れが発生した場合は、熱でセットされた状態となるため、その修正はほとんど不可能となってしまう。アセテートのベルベットだけには限らないが、ベルベットは水洗・しみ抜きは困難である。

(2) ポリエステル

ポリエステルは昭和33年春からわが国で生産されるようになった合成繊維で、ナイロン・ビニロン・アクリル 等より遅れて企業化された繊維である。しかしポリエステルは優れた性能のために急速に進展した。
ポリエステルはシワになりにくく、ひだが消えにくく、早く乾き、耐熱性も合成繊維の中では優れており、強さもナイロンとほとんど同じくらいに丈夫である。
また、ポリエステルは製造工程で原材料にある種の物質を添加することによって、多少性能に違いがあるものをつくることが可能である。このように物質を加えたポリエステルは、柔いのでウールタイプのポリエステルといわれ、染色性に優れているが、耐熱性はやや低下する。これに対し無添加のポリエステルは強度や耐熱性に優れ、繊維がやや硬いから綿タイプのポリエステルといわれている。同じポリエステルでも性能に差があるものがあることを認識しておかないとプレス時には思わぬ結果を招くことになりかねない。綿タイプかウールタイプかを見分けることは困難である。また、アルカリ減量加工によって硬いポリエステルも柔軟にすることができる。
ポリエステル繊維はドライクリーニングで汚染されやすい性質があるから、逆汚染させないように配慮する必要がある。特に白地あるいは淡色地のドレス、コート、和服類に注意しなければならない。これらの裏地にはたいてい同じ素材が使用されているものが多いから、むしろ水洗(低温)の方が安全であり、又最も適した洗い方といえる。
植物性繊維と混紡されたワイシャツなど、高温で水洗されるものは、洗濯中のシワを防止し逆汚染を防ぐ意味から70度以下で処理することが望ましい。こうすることによってポリエステルのくすみを防止することができる。

(3) ナイロン

ナイロンは第二次世界大戦時にアメリカで本格的生産に入った繊維であるが、わが国では戦後に登場した繊維である。ナイロンはそれまでの繊維よりはるかに強かったので戦後強くなったのは靴下であるという諺さえ、生み出した。その後多くの合成繊維がつくられるようになったが、今でもナイロンの強さは抜群であるといってよい。
ナイロンは摩擦や引っ張りに強いだけではなく、軽いことも特長の1つである。最近ではポリプロピレンのように水に浮くような軽い繊維がつくられるようになったため、ナイロンの軽さは少し影が薄れてきたような感じがするが、他の繊維と比べてみると非常に軽い繊維であることは変わりがない。このほか吸湿性が小さいこと、熱によって軟らかくなり遂には溶ける性質をもっていること、熱セットができること等の性質があるのはもちろんである。

(4) アクリル

ナイロンは絹に良く似ている合成繊維であるといわれているが、アクリルはもっともウールに良く似ている合成繊維である。その特長の第一は、柔らかいことにあり、ラムウール(仔羊のウール)にも匹敵する暖かな肌触りがアクリルの身上である。その上、優れたバルキー性と保湿性を備えており、アクリルカラーといわれる位に染色性も良い。そしてアクリルは特に直射日光に対しても強く比重もナイロンとほぼ同じくらいに軽い。
こうした特長を持っているから、メリヤス肌着、スポーツウェア、セーター、ニットスーツ、パイルソックス、手袋、マフラー、ハイパイルのショール等に用いられるほか、毛布、ふとん、カーテン、カーペット、クッション、椅子生地としても用いられている。また、アクリルは接着布用素材としても重要なものとなっている。
アクリルニット製品は、クリーニング処理によって伸びやすいので、注意しながら処理をする必要がある。しわのばしに蒸気を使用するときは慎重にし、仕上げ後まだ熱いうちにハンガーに吊るしたままで、長時間そのままにしておくなどは避けた方が安全である。収縮したものの修正は不可能ではないにしても、引っ張り過ぎれば今度は伸びすぎてどうにもならなくなってしまう。
アクリルも他の合成繊維と同じように、ドライクリーニングによる逆汚染を防止する必要がある。

(5) ポリウレタン

この繊維はスパンデックスと呼ばれることがあるが、普通一般の繊維と違い、ゴム糸のように自由に伸び縮みする性質を持った合成繊維である。染色することも可能であり、ゴム糸ではつくることができないようなごく細い糸を生産することが可能である。
このような性質を持っていることから、ファンデーション類(ブラジャー・パンティ・ガードルなど)や、靴下、メリヤス下着、水着、スポーツウェアなどの中にも使用されている。

(6) プロミックス

このプロミックスという繊維は、アクリル繊維の原料と、動物性蛋白質を結合させてつくった世界でも非常に珍しい繊維である。合成繊維というよりはむしろ半合成繊維であると言った方がいいかもしれない。昭和44年秋ごろから発売された繊維である。
プロミックスという名前は、蛋白質、つまりプロテインがミックスされているというところから命名されたものであるが、蛋白質(ここではミルクカゼイン)の混合割合は30~50%位である。プロミックスは絹のような美しい艶と、暖かみのある肌触りを持ち、染色性も良い。その上、動物性繊維より軽く吸湿性も少ないが、合成繊維中ではビニロンと並んでよく水を吸う方である。
プロミックスの用途は、マフラー、スカーフ、ネクタイ、和服等である。
クリーニング処理上は高温でいためたり、艶を消すことのないような注意が必要である。また水洗した場合の乾燥の仕方によっては異臭を発することがまれにあるが、再び洗濯し手早く乾燥すれば異臭は消える。合成繊維類は虫やカビに侵されないのが特長の一つであるが、このプロミックスはカビに侵され、虫にも注意を要するから、保存には注意が必要である。

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