無地染めについて①
皆様こんにちは
今回から2回に分けて無地染めについて記載します。私も見学しにお伺いしたことがございますが、均一に色をのせていくのはやはり職人の技ですよね。
引染とは
刷毛を用いて染色する仕方をいいます。この引染法は古くから行われていたもので、壺染(浸染の古称)に対して、岡染や岡デカシと呼ばれておりました。現在では、この染法で無地染をすることはほとんどなく、主として防染糊を施した模様染、すなわち地色染として行われております。友禅染の工程中最も面積の広い地色を染めるので、少しの難点も目立ちやすく、そのためにも優秀な技術と長年の経験とが必要とされます。
大きく分けると色引染と黒引染に分けられます。
1. 色引染
a. 色引染の工程
- 端縫:身頃、衿、衽、袖等を一連のものにするために絵羽縫を解き、手縫いやミシンによって継ぎ合わせます
- 伸子張り:端縫いされた生地の両端を張り木で止め、生地がしわにならないように伸子を張る作業となります。
- 地入れ:引染は浸染のように高温、長時間の染色を行わないので、染料の繊維に対する吸着力が十分ではございません。ですので地入れにはそれを補う目的と染料液が防染糊で伏せられた部分の生地に侵入しないする目的、そして染料液の移動を防ぐ目的があります。豆乳とふのり液の混合したものを刷毛引きします。これによって染料の染着力が増し、むら染を防ぎ、防染効果が良くなります。浸透の悪い場合はロード油等を用います。
- 色合せ:引染工程の中で最も重要な作業で、所定の染料液(主として酸性染料)を調合する作業です。染色する反数に応じた水に主調となる染料溶液を少しづつ加え、よく撹拌する。泡の色が染色すべき色になれば生地の端に染液を付けて試験蒸し(約三分間)をして所定の色相と濃度になるまで調合します。
- 引染(染色):引染工程における主要な部分を占める作業である。色合わせによって調合された染料液を刷毛に含ませて引くことによって生地に着色する作業で、均一に且つ速やかに染色する必要があります。
- 蒸し:常温での引染では、繊維内部まで染料分子の吸着が不十分なため、乾燥した生地を蒸し箱に入れ湿りを戻してから蒸気(約102℃)にあてることによって、染料の繊維内部への染着を促進させるための工程です。
- 水洗:蒸しをした後、水槽に生地を浸け、防染糊を落とす作業です。糊が生地に打ち合うと色むらが表れたりするので、流水で洗ったり生地が水槽の底に沈まないように浸けます。最後に糊が生地に残らないように気を付け、別の水槽で十分にすすぎ、脱水機で脱水します。
- 乾燥:脱水された生地は、直射日光を避けて乾燥させます。自然乾燥が一番いいです。火力・温風乾燥では風合いが少々硬くなります。
- 難繰(検反):引染工程における最終作業です。染めむらやシミがないかを調べながら巻き取ります。
b. 色引染の染料
使用される染料としては、主として直接染料・酸性染料が使われます。どれを使用するにしても次の条件が重要となります。
- 水によく溶けて冷液でも沈殿しないもの
- 染足のあまり早くないもの
- 蒸熱で変色しないもの
- 堅牢度が良く、脱色できるもの
c. 色引染の種類
- 地色引染:染料液を引染刷毛(5寸刷毛)に適当に含ませ速やかに均一に引くことが大切です。刷毛むらを防止するためには均染剤と染料液に添加して引染します。
- ぼかし染:ぼかし染には数々の染め方がございます。ぼかしを入れるには、普通に引染をして、ぼかす印のところで霧吹きをして濡れた個所と乾いた箇所の境をぼかします。その後染料液の付いていない刷毛でこすり、ぼかし際を丁寧に仕上げます。
- ローケツの引染:ロー描きの亀裂部分に染料を浸透させる場合は、地入液と染料液にロード油を少し多い目に加えます。ふのりは少し控えめにし、乾燥には火を用いてはいけません。
次回その②では黒系引染をアップする予定です!