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おしらせ

お蚕さんの繭が生糸になるまで!

皆様 こんにちは
生糸っていうとお蚕さんがつくったもの っていう認識はございますが、実際お蚕さんの繭からどのようにして糸になるのかということは良く知らなかったりします。特に昔と違い国内養蚕自体の製造が激減している中では特によくわからなかったりします。そこで今回は表題のように生糸の性状と製糸工程についてアップしたいと思います。

生糸の性状

絹は蚕の作った繭から取った繊維で、蚕には多くの種類があるので、絹の種類も多いが、大別すると家蚕(カサン)と野蚕(ヤサン)の二種になる。
数個の繭から糸口を引き出してほぐした糸を撚り合せて、一本の糸としたものを生糸という。しかし繭の表面を作る繊維は質が悪いので製糸の段階で良質な糸と区別する。この糸がのし糸、またはしけ糸と称しているものである。また繭の最内部の糸もキビソと称し、他のくず繭とともに紡績絹糸の材料として主に用いられる。
繭から引き出された生糸はそのままでは細すぎるので、数本または数十本を撚り合せ適当な太さにして利用される。また生糸は2本のフィブロインと呼ぶ絹の本質のまわりをセリシンと称するにかわ質でとりかこんでおり、セリシンは全体の約4分の1の量を占めている。

セリシンが付いたままの生糸は硬くて色も悪いが、生糸を石鹸または石鹸-アルカリ液で処理するとセリシンは溶解除去されて美しい絹となる。この工程を精練(セイレン)と呼んでいる。
生糸で精練して染色後製織したものを先染織物と呼び、生糸を製織したものを精練染織したものを後染織物と呼ぶ。また精練はセリシンを除くだけではなく。糸や織物上の不純物や糊分、汚れをも除去する。
屋内で飼育する家蚕に対し、野山に生育している蚕が作った繭から採取された絹で、これも種類が多いが、柞蚕絹(サクテンキ)と天蚕絹(テンサンキ)の2種に大別される。前者は茶褐色、後者は緑黄色を帯びている。いずれもこれらは家蚕絹の2倍の太さを持ち、光沢があり、強度も大であるが、やや粗硬で、鉱物性の不純物を多く含んでいたり、内部まで色素を含むので、漂白、染色が困難な欠点を有する。

生糸の性質は次のようなものである。

  • 光沢:
    精練された絹糸の光沢は真珠に例えられるように繊維中もっとも高尚優美でしかも温雅な光沢を有している。
  • 弾性:
    心地よい手触りと握りしめた時の良い反発力があり、弾性力に優れている。
  • 染色性:
    各種の染料に大きい親和性があってよく染色される。また、同時に汚れなども吸着されやすい。
  • 吸湿その他の性質
    生糸は大気中の湿度に敏感に反応して吸湿、放湿を繰り返す。熱伝導性が小さくて保湿性に優れている。反面、保存中に黄褐色化を起こしやすく、長時間の日光でも脆化する傾向がある。

製糸工程

蚕のつくった繭から生糸を繰り出す製糸工程に入るわけであるが、その前に次のような準備作業が行われる。

1. 繭集荷と乾繭(カンケン)

養蚕家の作った蚕繭を、製糸工程では生繭のままで買い取ることが多いのであるが、生糸は営繭したさなぎに繭を食い破られる前に解舒(カイジョ)して製糸しなければならない。生繭のままで放置しておくと、さなぎの皮膚が硬化し繭の表皮にシワが表れたり、カビが発生したりして製糸原料としての価値を失ってしまう。そこで繭質保存のため熱でさなぎを殺し、繭中の水分を蒸発させて乾燥させる「乾繭」(カンケン)の作業を行う。

2. 貯繭(チョケン)

乾燥させられた繭は光熱・空気・湿気など外界の影響による変質と、ネズミ・虫・カビなどの害を防いで繭質の保全を図るために貯蔵される。これを「貯繭」(チョケン)といい貯繭方法にはタンク詰法・冷蔵法などがある。生繭を冷凍保存したり、塩蔵することも行われている。

3. 合併と選繭(センケン)

「合併」とは生糸の荷口をまとめるため蚕品種産地上簇時期・産期・繊度などの一致した繭を混合する作業である。そうした後に不良繭を選り分ける作業である「選繭」(センケン)が行われる。これは生き物の蚕が作った繭であるので形の大小や繭層の厚い薄い等の点で差があり、繰糸に適当な繭、又は目標とする格の生糸に繰糸できるに達した繭を選ぶこととなる。
ここまで進むと、いよいよ製糸工程の本番に入るのであるが、工程としては「煮繭」(シャケン)「繰糸」「整理」の三つに分けられる。

  1. 煮繭工程
    90℃~100℃内外の熱湯中で約10分間煮繭し、繭層や繭糸に固着している適度に溶解軟和して、繭糸の解離を容易にする作業。この処理は繰糸能率、糸量、生糸品位などに与える影響が大きく、煮繭法としては蒸気煮繭法、基準式煮繭法、赤外線煮繭法などがある。
  2. 繰糸工程
    製糸作業中最も重要な工程であり、煮熟した繭の糸口を繰糸湯に入れ、数本の繭糸を合一して撚りかけて繰糸し、集緒器の小穴を通して抱合密着させて一本の生糸として枠に繰りとる作業である。繰糸器は古くは座繰機であったが、近年著しく進歩して高速自動繰糸機が登場、繰糸中の生糸の太さを自動的に感知する繊度感知機構を備え、索緒・繭補給・接緒、落繭・輸送・分離 及び関連作業が自動化されるようになってきている。
  3. 整理工程
    繰り枠に巻き取った生糸は、繰糸中にできた糸の歪みを除去すると同時に生糸を出荷、梱包しやすいように大枠に巻き返して枷(カセ)に仕上げ、更に枷20本を一括として文庫紙に包み、一俵が約60キログラムになるように荷造りを行う。こうして生糸は白生地産地へと運ばれていく。最後に原料繭の選別から外れた的外繭、不良繭についても殆ど捨てられることはなく、玉糸、紬糸、真綿、絹紡糸原料、肥料、薬品などとなって利用されている。
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