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2017/09/19

繊維の種類とその性質 動物性繊維 「絹」 その②

皆様 こんにちは
前回に引き続き、絹の性質等をご紹介させていただきます。

繊維の種類とその性質 動物性繊維 「絹」 その②

性質:絹は、最も細い繊維の一つで、フィブロインはその断面の形状(丸みを帯びた三角形)からも、独特な光沢をもつ優雅な繊維で、繊維の女王と呼ばれている。強力は、羊毛より大きく(フィブロインの結晶化がよいため)、綿と同じくらいである。弾性は大きいが、羊毛よりは劣る。フィブロインの比重は1.25と軽く、細いフィラメントであることから、軽く、しなやかな感じを与える。吸湿性は良く、吸収した水分の放散も速い。
熱に対しては羊毛よりも多少強いが、耐光性は劣り、紫外線により黄褐変し、ぜい化する。薬品に対しては、同じタンパク質の羊毛とほぼ同様な性質を示す。すなわち、耐酸性は比較的大きいが、羊毛より多少劣り、耐アルカリ性は羊毛と同様に低い。一般の有機溶剤には耐える。染色性はよく、羊毛と同様に酸性染料・酸性媒染染料・反応染料・直接染料などが応用されるが、特に羊毛よりは低温で染着がよい(スケールがないため染液の浸透がよい)。カビの害を受けやすい。
絹織物は組織や使用用途がデリケートであるから、機械的な強い操作を加えることは禁物である。水分を含んだ状態でこすると生地を毛羽立たせたり(スレ)、地紋を傷めてしまってからでは悔やんでも取り返しはつかない。
本来絹は黄変しやすい性質を持っているが、一部の胴裏や襦袢地に蛍光増白処理をしてあるものがあるので、そのために一層黄変が促進されやすく、その上洗剤が残存していると、これも黄変を促進する一つの原因となるから洗剤が残らないような処理をする必要がある。また、湿度が高い状態で長期間保管することも黄変の原因となる。
鮮美色の絹織物の染色堅牢度は、あまり強くはない。このために直射日光で退色する恐れがあり、蛍光灯を付けたガラスケースの中に長期間保存をしておく程度でも退色するおそれがある。

用途:絹は特に美しく、手触りがやわらかで、さわやかな絹鳴りを生じ、腰があり、ドレープ性が豊かであるなどの特性から、専ら上品な装飾的な用途に用いられる。

備考
・真綿と紬糸
繭や玉繭(2匹の蚕が1つの繭をつくるもの)・くず繭などをそのまま精練して、水中で綿上に広げたものを真綿という。この真綿から、手で繭糸を適度の太さに引き出したものが紬糸である。この手紬による糸からつくられる織物には結城紬がある。このほか真綿から手紡機を使って紬糸をつくる方法もある(この糸による織物に上田紬がある)。現在では、くず繭などを機械紡績したものも紬糸といっている。

・絹のドレープ性
衣料としたときの着姿の良否を表現しようとするもので、比重・柔軟性・弾性・厚さ・組織などの総合によって醸し出されるものである。
絹織物のドレープ性が、特に良いといわれる理由の一つとして、絹織物は細いフィラメントの集合した糸によって織られていることがあげられる。

②野蚕絹
野生の蚕から得られる絹で、柞蚕絹と天蚕絹(山繭)がある。柞蚕は、中国・インドが原産で、クヌギ・カシワ・ミズナラ・ナラ などの広葉樹の葉を食べて育つ。現在は完全に野生のものは少なく、山野に飼育されるものが多い。天蚕は、日本が原産でほとんど野生に近い。
柞蚕も天蚕も着色した独特の形の繭をつくる。製糸したとき、柞蚕糸は茶褐色、天蚕糸は黄緑色を呈しているが、精練してセリシンを取り除くと、両者とも少々着色が残るが独特な光沢のある絹糸が得られる。また、家蚕に比べて不均斉な(紬糸のような感じになる)糸になる。
柞蚕糸も天然糸もセリシンの含有量が多く、漂白・染色などの加工性は悪いが、素朴な感じが好まれて、着尺・洋服地(シャンタン・ポンジー)などの高級織物として用いられる。

次回は動物性繊維の中の羊毛についてご紹介させていただきます。

※パールトーンにおきましてもお蚕さんから繭ができるまでを観察してみました。画像はそのときのものです。

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